COLUMN 【サイクリングスポット】 300年の歴史が織りなす日本遺産から日本三景天橋立へ ~京都府与謝野町・宮津市~

京都府の北部、丹後地域は現在でも国内の6割を占める着物生地の生産地だ。 日本遺産としても「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」として登録され、ここ京都府与謝郡与謝野町では今も古い町並みのどこからともなく機織りをする音が聞こえてくる。与謝野町は日本三景の天橋立にも通じ、歴史遺産から日本が誇る絶景までのサイクリングが楽しめる。
300年の歴史が織りなす日本遺産から日本三景天橋立へ ~京都府与謝野町・宮津市~

日本遺産から日本三景天橋立へ

旧加悦町(かやちょう)役場庁舎からスタート

現在では与謝野観光協会の施設として利用されている旧加悦町役場庁舎。昭和4年に、宮津出身で甲子園球場の設計者である今林彦太郎が設計。昭和2年の丹後大震災を受け、鉄網コンクリート壁を使用した高い防火性に加え、高い耐震性能を持った建物が現在でも美しいまま当時の様子を映し出している。

「町長、めでたく日本遺産に登録されました。」

慶びを伝える会話が聞こえてくるような町長室には日本遺産のバッジが掲げられていた。部屋の入口にあった所在札によると町長は現在、会議中。艶のある木製の階段を上がり2階の会議室に入る。天井には当時の由緒ある建築物らしいデザインが施され、昭和初期のノスタルジーを感じる事ができた。

日本遺産から日本三景天橋立へ
町長室に掲げられた日本遺産バッジ。

日本遺産から日本三景天橋立へ
町長は現在、会議中です。

日本遺産から日本三景天橋立へ
2階の旧会議室。

日本遺産から日本三景天橋立へ
手の込んだ天井が当時の物づくりに対しての情熱を想像させる。

レンタサイクルで、ちりめん街道を行く

旧加悦町役場庁舎一階フロアは現在、与謝野観光協会による体験コーナーが設けられ、手織りで作るコースターやシルクを使用したミサンガ作りといった小物の体験製作が行えるようになっている。また、カフェスペースも併設されており、サイクリングの前後に休憩と機織り体験という流れで過ごせるのも嬉しい。

与謝野観光協会で電動アシスト付き自転車のレンタサイクルを借りたら、ちりめん街道を廻って日本三景の一つ、天橋立を目指そう。

日本遺産から日本三景天橋立へ
1階部分では機織り体験ができる。

日本遺産から日本三景天橋立へ
与謝野町は全国有数の着物生地の産地。

日本遺産から日本三景天橋立へ
着物生地を作るための機織機。


日本遺産から日本三景天橋立へ
旧加悦町役場庁舎、現与謝野観光協会でレンタサイクルを借りて出発。

ちりめん街道

絹織物の生産に適した湿潤な気候の丹後地方。機織りの歴史は奈良時代からと伝えられている。与謝野町にある、ちりめん街道には江戸時代の建物も残り、当時から続く街の様子を今に伝えている。

街道沿いには一見、同じように見える建物だが実は様々な業種が並び、短い区間ながら凝縮した時を過ごす事ができる。

それぞれの建物に書かれた案内版を読み、歴史の時間を楽しんでいこう。

日本遺産から日本三景天橋立へ
ちりめん街道の町家。機織工場だけでなく、旅館、医院、酒蔵や理髪店など町の要素が詰まっている。

日本遺産から日本三景天橋立へ
味わいのある瓦が葺かれた屋根。

日本遺産から日本三景天橋立へ
建築年代によっても異なる屋根のデザイン。少し上から街並みを眺めるのも良い。

日本遺産から日本三景天橋立へ
江戸時代に建てられた実相寺。

日本遺産から日本三景天橋立へ
実相寺の門にある獅子の彫り物にも時の流れが見える。

加悦鉄道とサイクリングロード

丹後ちりめんの運搬のため、大正15年に運行を開始。昭和60年にその使命を終えるまで地域住民の脚としても活用された鉄道は今ではその線路がサイクリングロードへと姿を変えている。

鉄道から自動車に輸送手段が変わり、その鉄道路線がサイクリングロードとして日々の自転車通学の学生や、丹後地域を訪れる旅行者に使われているというところにも、世の中の移り変わりを見る事ができる。

この加悦岩滝自転車道は全長が12km。旧加悦鉄道の線路跡や河川敷を繋ぎ海まで出る事ができる。海に出てからも海岸沿いの道を繋いで、ちりめん街道と天橋立を結ぶサイクリングロードだ。

日本遺産から日本三景天橋立へ
旧加悦駅駅舎。

日本遺産から日本三景天橋立へ
加悦鉄道の蒸気機関車。

日本遺産から日本三景天橋立へ
加悦岩滝自転車道には一部線路の絵が描かれている。

海へ

サイクリングロードを進み海へと出る。次なる目的地は海産物と思いきや、ブドウ畑だ。

国産ブドウに拘ったワインを醸造している天橋立ワイナリー。ワインはもちろんの事、ケーキやソフトクリームを食べる事ができ、2階にあるレストランではランチバイキングもあり、宮津で獲れた牡蠣などの海産物を窓から広がる天橋立とブドウ畑の絶景と共に味わえる。

日本遺産から日本三景天橋立へ
ブドウ畑で生産された葡萄を原料に建物内の工場でワインを醸造している。

日本遺産から日本三景天橋立へ
2階のテラスからの景色。眼下に広がるブドウ畑の向こうに天橋立が見える。

日本遺産から日本三景天橋立へ
種類も豊富なワインが並ぶ。

丹後一宮 元伊勢͡籠神社

宮津市の東端に位置し、天橋立の間近に建つ元伊勢籠神社。江戸時代後期に再建された本殿を持ち、丹後地方に養蚕と稲作を広めたとされる彦火明命が主祭神だ。

前漢・後漢時代の銅鏡が宝物として保管されている他、鳥居の両脇には重要文化財の魔除けの狛犬が建つ。並々ならぬパワーに、天橋立を渡る前もしくは傘松公園に上がる前に、きっと引き寄せられる事だろう。

ここまでの旅を振り返り、これからの旅の安全祈願にも寄っておきたいパワースポットだ。

日本遺産から日本三景天橋立へ
足を運んでおきたいパワースポット。

日本遺産から日本三景天橋立へ
厳格な空気が漂う境内。

日本遺産から日本三景天橋立へ
晴れた日の傘松公園からの天橋立。

  • 【グルメ・観光】 300年の歴史が織りなす日本遺産から日本三景へ ~京都府与謝野町・宮津市~
  • 与謝野観光協会(旧加悦町役場庁舎)-ちりめん街道-天橋立ワイナリー-元伊勢神社
  • 距離:16km
  • 消費カロリー:約150kcal
  • レンタサイクル:与謝野観光協会(WEBサイト 外部リンク)にレンタサイクルが設置されています。

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