COLUMN 【サイクリングスポット】国宝のある里山 ~京都府綾部市~
国宝 光明寺二王門
3万人ほどが暮らす綾部市は昔から絹織物が盛んで、多くは市街、中心部に人口が集中。市街から外れると、田園と河川、そして小高い山といった日本の田舎の景色が広がる。
この山の景色の中にポツンとある寺が光明寺。山の麓にある、あやべ温泉から坂道を登り寺の駐車場に駐輪して階段をあがると「このロケーションで??」という驚きとともに赤い二王門が眼に飛び込んでくる。門の前の立て看板には「国宝」の二文字。そう、これが国宝である光明寺二王門。国宝がこれだけポツンとこの場所にある事に驚いてしまった。
1242年から1253年にかけて建立され、1954年に国宝に登録。三間一戸、入母屋造、栩葺の二重門は全国的にも珍しい造り。門の両脇を固める二体の金剛力士像も門と同様に赤く塗られ、調和のとれた美しさを放っている。森の中に突如として現れる国宝、周囲からは虫の音しか聞こえてこない静寂な空間だ。
金剛力士像が守る門をくぐり、境内に入る。本堂に上がる急な石段を登ると赤い門の印象からするとモノトーンにも見えてくる建物が見えてきた。
聖徳太子が開創したと言われる古刹、光明寺本堂だ。千手観音を本尊とし、何度かの焼失を経て現在の建物は1836年に再建された。
二王門と比べると華やかさに欠けてはいるものの、建物のいたるところにある彫刻はどれも見事な美しさ。二王門も凄いが、こちらの本堂も只者では無い。
先にも書いたが、周囲には何があるというわけでもなく、山の中にある古刹がこれだけの味わいを見せている事に感動する。
水源の里
山と川に囲まれた綾部市に点在する過疎と高齢化が進む限界集落。その多くが由良川上流・支流に存することから、将来への希望を込めて「水源の里」と名付け、条例化によって再生策を打ち出した事に始まったプロジェクト。清流の起点、上流ともなるいくつかの水源の里へと足を伸ばした。
水源の里 老富にある老富会館では、秋になるとこの地の名産品である栃餅作りの体験ができる。水源の里プロジェクトの目的である再生策の一環として行われている栃餅作りは人気のメニューの一つだ。起点こそ小川の上林川だが、起点から10kmほど下流に行けば里に広がる田畑に水を供給する立派な河川の姿となる。
上林川沿いにある飲食店、二王の栖では地元の農産物を使ったランチメニューが提供されサイクリングで減ったお腹を満たしてくれる。
水源の里 古屋は、高齢化率100%。現在は2世帯3人が住む限界集落だ。周辺は6月になると蛍が飛び交い、綺麗な水の流れを眼にする事ができる。途中、山肌を流れ落ちる大岩の滝に里へと続く登り坂での疲れが癒される事だろう。
気取った物は何も無い
京都市内から北に70km。賑わいを見せる京都市内とは違い、ここ綾部市上林地区には気取った観光名所があるわけでもない。
しかし、国宝である二王門、造形美溢れる光明寺本堂、そして川の流れと野山の風景。ゆっくりと流れる時間を気ままにサイクリングで過ごす空間に溢れている。
見上げれば空、見渡せば山、耳には川のせせらぎが聞こえる。何も無いのを楽しみに出かけよう。
- 【グルメ・観光】国宝のある里山 ~京都府綾部市~
- 国宝光明寺二王門
- 京都府綾部市睦寄町君尾1-1
- あやべ温泉二王の湯から約4.5km
- 水源の里老富
- 京都府綾部市老富町ヒシリ7−1
- あやべ温泉二王の湯から約11.5km
- 水源の里古屋
- 京都府綾部市睦寄町古屋
- あやべ温泉二王の湯から約7.5km
- あやべ温泉起点で総走行距離:約47km
- あやべ温泉起点で消費カロリー:約1100kcal
- レンタサイクル:あやべ温泉(京都府綾部市睦寄町在ノ向10)にレンタルEバイクが設置されています。WEBサイト(外部リンク)
関連記事
【サイクリングスポット】明智光秀の築いた城下町 ~京都府 福知山市~
【グルメ】地元食材を使ったランチが自慢の古民家カフェ 二王の栖 におうのすみか
【サイクリングスポット】久美浜湾を一周するクミイチで発見した京丹後の奥深さ
【グルメ】京丹後で旬のフルーツを美味しくいただく Baycook ベイクック
【サイクリングスポット】 300年の歴史が織りなす日本遺産から日本三景へ ~京都府与謝野町・宮津市~
【サイクリングスポット】移り行く近代史の旅 ~京都府 舞鶴市~
関連タグ
サイクリング, 近畿, 京都府, 寺社巡り, そうだったここも京都, 電動サイクリングぐるり旅