COLUMN 【サイクリングスポット】水の古都 鎌倉 涼を求めて -神奈川県鎌倉市-
- 今回のスポット
- 北条高時の腹切りやぐら
- 源頼朝の墓
- 梶原太刀洗水
- 逗子のトンネル
- 材木座海岸
- 泣塔
東京駅から約1時間。ドラマや小説などの舞台となり観光で訪れる人も多く、鶴岡八幡宮や長谷寺をはじめとした寺社仏閣、由比ヶ浜での海水浴など人気の観光地、鎌倉。
JR鎌倉駅周辺でハローサイクリングのシェアサイクルを借りたらサイクリングスタートだ。
海と山に挟まれた土地に作られた都市は歴史的景観を守るため、現在でも細い路地が多い。一見、自転車で走りにくいと思われがちだが、そこは武士の作った古都。
まるで脇差しの刀がお互い触れないように左側を歩くかのように自転車もまた車道の左側を通行し、規律正しい姿が行き交う地元の方たちに伺える。
ナビラインは無いものの、車道の左側を通行、一時停止などの自転車利用五則に則って走る事で細い路地も難なく走る事ができる。
鎌倉市内は細い道が多い。車道の左側通行、一時停止といった自転車利用五則に則って走ろう。
鎌倉幕府滅亡 北条高時の腹切りやぐら
サイクリングの開始早々、滅亡か? という印象だが、早速滅亡の地を目指す。
木造の特徴的な家並みを抜けていく。北条泰時が建立した東勝寺近くには大正13年に架けられたアーチ橋の東勝寺橋がある。木が茂り、木陰も多く橋のたもとの公園で自転車を停め、一息ついたら徒歩で東勝寺へ向かった。
1333年の5月、倒幕側の新田義貞に追い詰められた北条一族が籠り、北条高時以下900名近くが自害したといわれているのが、東勝寺跡と腹切りやぐらだ。
東勝寺跡は寺の面影は全く無いものの、何か特別な場所である雰囲気が漂う。その先には腹切りやぐら。
鎌倉幕府滅亡の地である腹切りやぐらは、現在は崖崩れのため付近は立ち入り禁止となっているが、鬱蒼とした山道は夏の暑さを吹き飛ばすのに十分だ。
腹切りやぐらの碑から山道を上がると祠がある。山道はハイキングコースとなっており、人も通るであろう場所ではあるもののやはり何か特別な雰囲気。
祠でお参りをしたら公園に戻って再び走り始めた。
源頼朝の墓
歴史的景観を守る鎌倉。小路の沿道は特徴的な木造の家が建ち並び、建築ファンならずとも美しい家々は見ているのも飽きない。
静かな路地を行くと、よりとも児童遊園に到着。公園に自転車を停め、石段を上がると、上には鎌倉幕府を開いた源頼朝の墓がある。
1199年の正月、鎌倉幕府を開いてから6年半の後に没した頼朝。その死因は病気や落馬、暗殺、果ては亡霊を見た説など様々な説があり謎のままだ。
因縁が渦巻く鎌倉幕府の歴史、どのような説もあり得そうで興味深い。しかし、この街から一段上がったところに整然と在る源頼朝の墓、五輪塔を見ると鎌倉を都とした将軍頼朝の力が伺える。
梶原太刀洗水
横浜市と鎌倉市を結ぶ神奈川県道204号線を走り、次の目的地である太刀洗の水へ。
車通りも多い県道からそれてしばらくすると、砂利道となり森の中へと入って行った。
太陽の光が遮られ、真夏でも涼しく感じる川沿いの砂利道をパンクに注意しながらゆっくりと進むと左手に太刀洗の水が見えた。
銭洗弁天と同じく、鎌倉五名水のうちの一つとして数えられる名水、梶原太刀洗水。
太刀を洗う、という字からも分かるように、刀を洗った水として知られている。
1183年に梶原景時が源頼朝の命で上総介広常を討ち、この水で太刀の血のりを洗い、刀を清めたと伝えられている。
ここは横浜金沢と鎌倉を結んだ交通の要所で朝夷奈切通として知られ、太刀洗水の奥には滝があり鎌倉時代にはこの場所で休憩をとっていただろうと想像する。
五つあった名水も現在では銭洗弁天とここ梶原太刀洗水の二つだけが残る。
トンネルを抜けて材木座海岸
鶴岡八幡宮を中心とした鎌倉市街は小高い山々に囲まれ、周囲にはいくつものトンネルがある。
鎌倉から逗子へ抜ける途中、逗子から再び鎌倉に入る途中にもトンネルがあり、夏場は通過する際に幾分か涼しさを味わう事ができる。
梶原太刀洗水から一路、海へ。逗子までの道のりは途中山越えを含んだ約5kmの道のり。電動アシスト付きのシェアサイクルなら山越えの不安も解消される。
山を越えたら、これまでの古都の雰囲気から一転して地中海かハワイかのような逗子の港町に出た。
ゆっくりとした時間が流れている空間に、トンネルを抜けたらそこは異国だった感覚に陥る。
再び、涼し気なトンネルを抜けて鎌倉市側へ。
夏のマリンレジャーで賑わう材木座海岸に出る。
ここ材木座海岸は20世紀半ばに大量の人骨が発見された海岸で、新田義貞の幕府討伐の際の戦死者と推定されている。冒頭訪れた腹切りやぐらといい、ここ材木座海岸といい幕府討伐の戦いの凄惨さが伺える。
長谷駅にはスポーツタイプの電動アシストサイクル「KUROAD」のシェアサイクルステーションも設置されている。
こちらではシティタイプのシェアサイクルの貸出、返却はできない。
鎌倉大仏殿高徳院を過ぎ、泣塔へ。
材木座海岸、由比ヶ浜と海岸を抜け再び内陸へと向かう。
次の目的地の泣塔までは、再び山越えの約5kmの道のり。
江ノ島電鉄長谷駅を通過し鎌倉の大仏様の参拝客で賑わう鎌倉大仏殿高徳院を過ぎて坂を登りトンネルをくぐる。
これまでの古都の雰囲気からはまた違った住宅街へと出た。
球場グラウンドで野球の練習に励む小学生の姿を横目にこんもりとした林の塊が目に入ってきた。
不思議な木々の塊に引き寄せられると、そこが鎌倉市有形文化財の泣塔だ。
確かな記録は無いが、南北朝時代の14世紀半ばに鎌倉討伐での倒れた戦死者を弔うために周辺住民によって造立されたものと伝えられている。
泣塔という意味ありげな名前は、夜な夜なすすり泣く声が聞こえるなど諸説がある。
2019年の豪雨の影響で現在は周囲に設けられたフェンス越しに拝観する事になるが、周囲とは一線を画した木々の中にある塔は一見の価値がある。
周辺が開発整備されていく中で、この泣塔のある場所だけ、守られているかのように存在しているのだ。
夜な夜な泣き声が聞こえるようになったことから名づけられた泣塔。
鎌倉攻めは別角度から
賑わいが戻ってきた観光地。
正面から混雑している観光地を巡るよりも深さを求めるなら別角度からのアプローチをすると静かにその土地を巡る事ができる。
そんな深い旅には自転車が最適な移動手段になる。
幸い、鎌倉市内には至る所にシェアサイクルのステーションがあり、鉄道で現地入りして自転車で巡るのにも最適な場所だ。
華やかな歴史の裏には別の一面もある。
水と京を組み合わせると涼に。
海に面した都、鎌倉には違った意味でも涼しさがあった。
- 【サイクリングスポット】海のある都、鎌倉へ涼を求めて。 -神奈川県鎌倉市-
- JR鎌倉駅~北条高時の腹切りやぐら~源頼朝の墓~梶原太刀洗水~逗子のトンネル~材木座海岸~泣塔~JR大船駅
- 距離:19km
- 消費カロリー:約400kcal
- シェアサイクル:鎌倉市内各所にハローサイクリングのサイクルステーションがあります。
- 江ノ島電鉄 SHONAN PEDAL WEBサイト
- 鎌倉市観光協会 WEBサイト
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