COLUMN 【サイクリングスポット】上町台地を縦断してディープな大阪を知る -大阪 天王寺~中之島公園-

大阪府サイクリングマップのディープさ

大阪府が「自転車を活用した広域連携型まちづくり(外部サイト)」の中で紹介しているサイクリングマップがある。

郊外の山々や市街、湾岸地域と初級から上級までバリエーションに富んだコースが並んでいるが、その中で目を引いたのが「上町台地を上って下って坂の町を体感!大阪市街地の史跡発見ポタリング」。

上町大地は大阪平野の南北に延びる台地で、大阪の歴史の舞台となり今でも史跡がそこかしこに残る一帯だ。コースは約13km。獲得標高は100m程度。単にコーススペックからは判断すると初級になるコースだが、このコースの史跡の数を掘り起こせば、おそらく超級に位置するディープな匂いがする。

今回は、そのディープさを確かめるため天王寺公園から上町台地を北上した。

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天王寺駅と天王寺動物園の間にある天王寺公園。売店やカフェがあり集合場所や休憩場所としても利用できる。

 

通天閣をくぐりぬける

天王寺公園からスタートして天王寺動物園の横を抜ける。まず目指すは大阪のシンボルタワー、通天閣。カラフルで立体的な看板が並ぶ新世界の通りを行くと通天閣が見えてくる。飲食店街と通天閣のコンビネーションが目の前に現れると大阪に来たという感触が沸き起こる。

108mの高さがある現在のタワーは1956年建設の2代目。展望タワーは観光名所として人気のスポット。道を跨ぐように建てられており、見上げるとパリみたいな雰囲気が感じられる。

それもそのはず、1912年に建てられた初代通天閣はパリのエッフェル塔と凱旋門を組合せたデザインで2代目である現在の通天閣も初代のデザインを踏襲している。

108mという昨今の高層階の建物の高さと比べると低く感じるが、間近で見ればそれはそれは大きく迫力のあるものに感じる。塔というよりも、むしろ巨大ロボットの足元を走り抜ける雰囲気さえあるのが通天閣。

くぐり抜ける時に上を見上げれば、天井には見事なクジャクの絵が描かれていた。初代通天閣エントランスにも描かれていたクジャクの絵。2代目もエントランスの天井に大きく、花園に遊ぶクジャク図が描かれた。

ここはペダルの足を止め、首が疲れるまでじっくりと真上の巨大画を見て行こう。

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大阪のシンボル通天閣と立体看板が並ぶ新世界。

 

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まるで今にも動き出しそうな巨大ロボット的な雰囲気のある2代目通天閣。

 

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通天閣エントランス天井に描かれているクジャクの絵。

 

天王寺七坂

上町台地は文字通り小高い高台だ。上町台地の西側には大阪湾が位置し、上町台地から海側に坂道が点在。天王寺から上町台地の北端である大阪城までは小刻みに坂道がある起伏に富んだ地形となっている。

数ある坂の中で、天王寺界隈に天王寺七坂と呼ばれる七つの坂がある。

テンノウジ セブンヒルズ プチヒルクライム。

先ほどの通天閣同様、高さは無いもののインパクトのありそうな匂いにつられ、七つの坂を攻略して行こう。

通天閣から国道25号線に出て東を向けば、天王寺七坂の南の端にある逢坂。逢坂を皮切りに南から順に坂を追う。天王寺七坂は基本的に東を走る谷町筋と西を走る松屋町筋の間にあり、二つの筋の間は細かい路地と寺社仏閣が多い。

逢坂の次は文字通り菅原道真を祀る安居神社に通じている事から名づけられた天神坂。路地を入ると清水寺と清水坂に出る。

この清水寺には大阪市内で唯一の滝である玉出の滝がある。大阪市内に滝というのはイメージが無く、初めて知る感激が沸き起こった。清水寺の東にある聖徳太子建立の寺、四天王寺の地下から流れてくるとされている滝水は、水量こそ少ないものの絶えず滝口から落ちている。

清水寺から再び細い路地を行くと愛染坂、そして一度松屋町筋に出て北上すると口縄坂となる。口縄坂は途中階段があるため、再び松屋町筋へ。次に現れるのが天王寺七坂にプラスされて八坂と呼ばれる事もある坂の学園坂だ。

学園坂は自転車用のレーンがあり、上りと下りの片側2車線の珍しい自転車用の道路が設置されている。

学園坂を登りきり谷町筋を少し北上。寺院に囲まれる源聖寺坂に出た。「自動車は通り抜けられません」の看板の先には階段が見えてくる。一度戻って松屋町筋から再び源聖寺坂の石碑をカメラに収めた。

この天王寺七坂、途中の階段を避けるように巡るとなかなかの運動量になる。テンノウジ セブンヒルズはなかなか侮れない。

松屋町筋を北に進み七坂の最北端にある真言坂へ。真言坂の奥には生國魂神社が見えた。

 

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最南端の逢坂。

 

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菅原道真を祀る安居神社に通じる天神坂。

 

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清水寺脇にある清水坂。

 

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清水寺にある玉出の滝。大阪市内で唯一の滝だ。

 

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四天王寺から流れてくるという滝水。

 

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滝水は三つの滝口から落ちる。

 

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愛染堂へと続く愛染坂。

 

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坂の起伏が口縄(蛇)に似ている事から名づけられた口縄坂。途中が階段になっている。

 

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学園坂には自転車用のレーンが設けられている。この学園坂を含め、天王寺八坂とも呼ばれる。

 

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源聖寺から上る源聖寺坂。途中は階段になる。

 

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かつて真言宗の社僧六坊があった真言坂。奥には生國魂神社の鳥居が見える。

歴史の道をたどる

天王寺七坂を制覇し、最北端にある真言坂を登ると、生國魂神社となる。神武天皇の時代に創建されたとする説があるほど古くからある神社だ。

本殿は生國魂造りと呼ばれる独特の建築様式で、特徴的な屋根が塀越しに見る事ができる。

元々は大阪城、難波宮のあった辺りに創建された生國魂神社は、豊臣秀吉の大阪城築城の際に現在の地に移された。

この生國魂神社から大阪城へ向かうと歴史の繋がりが見えてくる。

スポーツ施設としても賑わう真田山公園を抜けると大阪市が設定した歴史の散歩道の碑が見える。道を辿れば真田丸顕彰碑。

大坂冬の陣で真田幸村が大阪城守備のために築いた出城があったとされる場所だ。大坂冬の陣で多くの敵勢を退けた出城は冬の陣の後に破壊され、その姿をはじめ実態は現在でも諸説あるほどの霧の中となっている。

真田丸顕彰碑から北に行くと、日本最古の皇居、難波宮が見える。その歴史は応神天皇から始まり、孝徳天皇の時代には日本で初めて首都とされた地。

大化の改新の舞台と言えば、その歴史的な位置づけもイメージがしやすい。広い公園となっている敷地内では大極殿正殿跡など、いくつかの遺跡を見る事ができる。

難波宮の北に、大阪城。お堀の周りも自転車で進む事ができ、城を見ながらのサイクリングを楽しめる。梅の季節には梅林公園を散策しながらも良し、カフェや軽食などを楽しみながらゆっくりと過ごすのも良し、古代から戦国時代の歴史の旅を振り返りながら一息つこう。

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生國魂神社。

 

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境内にある城方向八幡宮。

 

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生國魂神社は創建時は現在の大阪城近くに鎮座していた。

 

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街中の運動施設として利用されている真田山公園。

 

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真田山公園を出ると歴史の散歩道にあたる。

 

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真田幸村の築いた真田丸があったとされる地に立つ真田丸顕彰碑。

 

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難波宮跡から大阪城を望む。

 

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大阪城天守閣。

 

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豊臣秀吉像と豊國神社。

 

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梅の季節には多くの人で賑わう大阪城梅林公園。

 

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城内のお堀を利用したトライアスロン大会も開催される大阪城公園。

 

近代の建築物で締めくくる

大川の中にある中之島公園。周辺はオフィス街となっており、平日はオフィスで働く人々、休日は観光客も訪れる憩いのスポット。

季節ともなると美しいバラが咲くバラ園を抜けながら、このコースのゴールである中央公会堂へと到着した。

中之島公園の歴史は古く、1766年に遊興地・景勝地として埋め立てをしたのが始り。てっきり明治の時代に作られたかと思っていたが、その歴史に驚く。

公園のシンボルである中央公会堂は1918年オープン。地上3階、地下1階の建物は、ネオルネッサンス様式を基調としたデザインで建物を背景に写真を撮る絶好の映えスポットでもある。

アインシュタインやヘレンケラーといった歴史上の人物の講演も行われた場所だ。

中央公会堂の隣には、これも美しい建築の大阪府立図書館。こちらは中央公会堂よりも古く、1904年の竣工。

エントランス上にある大阪図書館の文字の並びが館書図阪大となっているところに魅かれる。

他にも大阪市内では明治から大正の近代建築を見る事ができる。数々の近代建築を辿るサイクリングはまたの機会にとっておこう。

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中之島公園と観光クルーズ船。

 

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天神橋。

 

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中之島公会堂。

 

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アインシュタインやヘレンケラーも講演を行った。

 

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大阪府立図書館。

 

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1904年竣工。

 

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道路によっては自転車ナビマークが敷かれている。

大阪府のサイクリングマップ掲載の約13kmのサイクリングコースを元にサイクリングスポットを巡る。

終わってみると、その奥深さ、ディープさにお腹いっぱいになった。

大阪は食い倒れの街。

濃いサイクリングが楽しめる。

  • 【サイクリングスポット】上町台地を縦断してディープな大阪を知る -大阪 天王寺~中之島公園-
  • 距離:約13km
  • 獲得標高:106m
  • 消費カロリー:約300kcal
  • シェアサイクル:大阪市内各所にハローサイクリングのサイクルステーションが設置されています。

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