COLUMN 【東京都・山梨県】極限のその先へ!【2025峠道ZERO】開催レポート

11月2日(日)、THE BASE主催の特別ライドイベント「峠道ZERO」が開催されました。 このイベントは、セルフヒルクライムチャレンジ『峠道 -とうげどう-』を制覇した猛者だけに与えられる挑戦権。 “30峠を走破した者だけが挑める、究極のヒルクライム”——そんな言葉がふさわしい一日となりました。

AM7:00、静寂を破るホイールの音。

集合場所であるTHE BASEには、まだ朝の冷気が残る時間。
集合時間の5分前から続々とライダーが現れ、緊張と高揚が入り混じる空気が漂います。

今日のルールはただ一つ。
総距離210km・獲得標高4700mを、制限時間内に全員で完走すること。

さらに今回はタイムゲートが設定されました。

  • 柳沢峠の峠茶屋を14:15に出発
  • 笹子峠頂上を16:00に出発

この時間を過ぎると"足切り"。
その言葉が、いつもより空気をピリッと引き締めます。

コース紹介

今回の「峠道ZERO」は、
和田峠 → 鶴峠 → 今川峠 → 柳沢峠 → 笹子峠 → 雛鶴峠 → 道志ダム → 津久井湖
という、東京および山梨では名の知れた峠を繋ぐ壮絶なルート。
数字以上に「走る覚悟」を試されるコースです。

峠道ZERO 2025 | Stravaでの216.3 km サイクリングルート

序盤:和やかさの中に潜む静かな覚悟

制限時間があるため、序盤からハイペースでスタート。
お互いを励まし合いながら最初の激坂「和田峠」へ挑みます。

下りきった先で短い補給を挟み、各自のペースでウェアやウォーマーを調整。
峠道ZEROは"止まりすぎないこと"も勝負の一部。
準備が整った人から順にスタートしていきます。

この日は天候にも恵まれ、峠の合間からは時折、富士山が顔を覗かせました。
その光景が、挑戦の序章を静かに彩ります。

10:24 今川峠、最初の試練。

鶴峠を越え、順調に距離を重ねたところで最初のトラブル。
今川峠で1名がパンク。

すぐにサポートスタッフが現場へ急行したが
到着した時には、すでに新しいチューブを装着中。
落ち着いた手際に、場数を踏んだサイクリストの経験が垣間見えます。

無事に再出発するも、この時点でチームは3つのグループに分かれました。
最後尾グループは、先行する2組より約30分遅れ。

13:15 柳沢峠茶屋、昼食と駆け引き。

先行2グループが柳沢峠茶屋に到着。
14:15の出発制限がある中、それでも「全員でゴールしたい」という思いから、
茶屋で昼食を取りながら後続を待ちます。

「お店で食べられるとは思わなかった......」
そんな言葉に、挑戦の過酷さが滲みました。

14:00、そろそろ後続が到着との連絡。
先行チームは峠を後にし、絶景の広がる看板前で記念のひと息。
一方、14:25に到着した最後のグループは惜しくも足切り。
柳沢峠でのリタイアとなりました。

それでも、笑顔を絶やさず走りきった姿は、
「峠道コンプリートライダー」の名にふさわしいものでした。

14:50 THE BASEスタッフ、追走開始。

最終グループで走っていたスタッフが追撃開始。
そして15:45、先行グループは笹子峠の頂上へ。
サポートカーが到着すると、参加者の1人から静かにリタイアの申し出。
柳沢峠の時点で足攣りが出ていたものの、
笹子峠まで走り切ったその姿には、誰もが敬意を抱きました。

終盤:笹子峠、そして"闘志"との戦い

笹子峠の下りは、冷え込みと集中力の戦い。
そして再びパンク。
気温は一気に下がり、手先の感覚が奪われていく。

それでも迅速に修理を終え、再びペダルを踏み始めます。


その後、コンビニで補給と休息。
温かいほうじ茶とおにぎりを食べて最後のラストスパート。

(それでも残りあと70㎞ほど...)

ラスト:漆黒の道を抜け、THE BASEへ

最終区間は、ほとんど街灯のない山道。
ライトの光だけを頼りに、静寂の闇を切り裂き進みます。
脚は重く、息は白く、集中力だけが頼り。

中でも印象的だったのは、タフに走り続けた女性ライダー。
可憐な雰囲気とは裏腹に、持参した補給食はなんと3,000キロカロリー分。
THE BASEが用意した補給もすべて食べきり、
「走り続けるために食べる」その姿勢は圧巻でした。

そして20:00すぎ。
ついに全員がTHE BASEへ帰着。
制限時間には届かなかったものの、誰もが胸を張って言える。

「やり切った」と。

終わりなき"峠道"

今回、5名中3名が完走。
全員が限界を超え、己と向き合い、仲間と支え合った一日。
210km・4700mアップという過酷な数字の裏には、
無数の笑顔と、静かなドラマがありました。

「峠道ZERO」----それは、ただのライドイベントではなく。
挑戦する者たちの"物語"そのものでした。

限界の先で見えたものは、人それぞれ違うかもしれません。
けれど、同じ峠を越え、同じ時間を走り抜けたという事実は、確かにそこにありました。
「峠道ZERO」は、今年もまた"挑戦する心"を教えてくれました。
参加された皆さま、本当にお疲れさまでした。

そして----また次の峠でお会いしましょう。

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